I NEED YOU

『I NEED YOU』 POINTER SISTERS
えー、こんにちは。バキューム・キスの達人、グレノスの祥です(B面参照…アホか)。ハードメロウも今回で5回目。初のブラック・ミュージックでゴーしてみましょうか。
サザンとフォーク、歌謡曲、そしてニューミュージックをメインに聴いていた小学生時代からガラっと変わって中学時代は洋楽に興味が進む。物珍しくて、そして日本人にはあり得ないアレンジとかアイデアがいっぱいで、そのうえヒットチャート系番組やMTVが楽しくて所謂エイティーズと呼ばれるあの時代の洋楽にどっぷりドプドプだった。タイトルや歌ってる人の顔を知らなくてもラジオから流れる洋楽を聴くことにワクワクしていた毎日だった。その中でも特に中学時代にハマったものの一つにブラックな女性ヴォーカリスト達がいる。中でもダイアナ・ロス、ドナ・サマー、ティナ・ターナー、アレサ・フランクリン、チャカ・カーン、そしてポインター・シスターズ!白人女性ヴォーカリストでは感じることの出来ない腹の底からぐぉーって湧きあがるこの魂の叫び。本物の歌の喜びを感じたものだった。母がまず音楽が好きで黒人音楽を当時よく聴いていたというのの影響もあるが、ラジオの情報を得るのは私の方が先を行っていたのでコレもいいよ、アレも凄いよ、なんて情報交換しては音楽を楽しんで聴いた時代だった。ポインター・シスターズはチャカ・カーンに続いて私が母に教えたものの一つだった。
ポインター・シスターズが4人だった時代はおろか、初期の玄人を唸らせるようなアルバムの時代は知らない。相変わらず休日に家にいる日は1日中ラジオを流して気に入った曲をメモしたり「FMステーション」を眺めたりしながら音楽にどっぷりの超インドアな生活をしていたのだが、ある日ラジオから聴こえた優しく温かいサウンドにまるで全身に電流が流れたかのような衝撃が走った。ラジオのスピーカーに耳をくっつけ聴いた。それがこの曲、“I NEED YOU”。
翌日貸レコ屋へ行って借りたアルバムがコレ。初期のポインター・シスターズを好きだった人たちからは実はこの作品、評価がいまひとつだったらしい。このアルバムの曲の中に「DANCE ELECTRIC」という曲があるのだが、このアルバムが出たのはまさに80年代全盛期。その曲名の通り、「DANCE」で「ELECTRIC」な曲が多い。当時の時代とマッチした曲調が映画「ビバリーヒルズ・コップ」の挿入歌になったりと初期のポインター姉妹ファンを遠ざけたのは事実らしい。しかし私のポインター・シスターズデビューはこのアルバムだったので何の問題もなく愛聴した1枚だ。当時は世の中にニューロマの流れもあったし、ドラム・マシンの音、エレクトリックな音が普通に流れた時代であったし。しかし彼女たちに惹かれたのはやはり声!声なのだ。声質の違う3人の姉妹。父親が牧師という事もあったのだろう。例え「DANCE」であっても「ERECTRIC」であっても彼女たちの根っこにはゴスペルな響きがある。私が一番好きだったのは長女・ルースの超低音ヴォイスだった。ルースの安定したその声を軸に彼女たち3人の声が絡み合う様は実に美しく、やはりシスターズならではの安定感、そして落ち着いた輝きが感じられる。
このアルバム。1曲1曲、リード・ヴォーカルが違う。3人の姉妹がそれぞれリードをとって歌うのだ。しかしこの“I NEED YOU”だけは違う。リード・ヴォーカルは Anita,June & Ruth なのだ。歌を姉妹が繋いで繋いでポインター姉妹が作り上げる愛のある優しく温かい曲なのだ。このアルバムからたくさんのシングル・ヒットが出たが、このアルバムに先駆けてシングルカットされたこの曲はそれらの曲と比べるとイマイチだったらしい。しかしこの姉妹が手と手を取り合って大切に大切に歌い上げたこの曲の美しさはこのアルバムの中でもダントツに素晴らしいと思う。
もしも大切な人にラブソングを贈るとしたらどんな曲?という意地悪な質問をされたら“I NEED YOU”、この曲をその中の1曲に選ぶことだろう。私の言葉では表現出来ない、所謂バキューム・キス級の(←まだ言ってる)熱い想いがこの曲と共に伝わってくれるような気がする。物凄く温かく、物凄く愛しく美しい曲だ。画像ポチで試聴できるので是非バキュームされて欲しい。
今回、この記事を書くにあたってその後のポインター・シスターズについて少し調べてみたら悲しい事実を知ってしまった。末の妹のジューン・ポインターが今年の4月11日にロサンゼルスの病院で52歳の若さでありながら癌のために他界したという。「JUMP(For My Love)」や「BABY COME AND GET IT」ではじけるような、そう、姉妹の中でも特にパワフルな声を聴かせてくれたあのジューンだ。
彼女を思いながら“I NEED YOU”を聴く。
どうだろう。イントロからしてグッとくるじゃないか。
アルバムの中の彼女の声は今もまだキラキラと生き続けているよ。
You know I need you
You know I want you
I got to have you
By my side
*『Break Out』 POINTER SISTERS








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