

今日の夕日。まさに“サウダージ”という言葉がピッタリのオレンジ色だった。完璧な夕日もイイけど、雲と空と海とのこの組み合わせがなんとも言えない琥珀色からコーヒー色のような懐かしさ、そしてもう戻る事の出来ない日々の悩みも無く楽しく過ごした幼い頃の想いでいっぱいになる。小さい頃に母のレコードの中から偶然見つけてボサノヴァを初めて聴いた時のあの感動を思い出す。初めて聴いた時から不思議だったのはどうして行った事もない国のこの音楽で胸の奥がギュッと締め付けられるような気持ちになるのかという事だ。そしてこの音楽を聴くとどうして琥珀色のイメージが頭の中で広がるのかという事だ。ボサノヴァを聴いている時はいつも優しい気持ちになる。で、今日の仕事帰りの音楽は懐かしいこのアルバムにしてみた。
United Future Organization後の出会いだったと思う。オリジナル・ラヴの『結晶』後、自然とジャズ、そしてクラブジャズへの興味が沸いてきた1993年。ブルーノートのクールなジャケ、渋谷系のそれまでの日本の音楽でこんなに美しいジャケがあっただろうかってくらいにハマったオシャレなジャケ、そして北欧系の雑貨屋的カワイイジャケに心躍らせたりウットリしたり…とCDをジャケ買いしていたまだ20代前半だった頃に出会ったコンピだ。初めてジャズ喫茶というところに入ったのもこの頃。まさしく私がさっき書いたような琥珀色〜コーヒー色の映像が頭の中で広がるようなブラジルの音楽。ジャズなテイストでいっぱいのブラジルの音楽。相変わらずその頃からアーティストの事についてよりもとにかく耳から入る音楽で気持ちよくなるものを望んで聴いていて(なにしろこの頃が一番CDを買っていた)、そんな中出会ったこのコンピは私がブラジル音楽を本格的に聴き始めるきっかけを作ってくれたそんな一枚だった。それまで母親の持っていたブラジルのレコードを聴いてはいたけれど、自分でブラジルの音楽を買ったのはこれが最初かも。やはり私が初めて聴いた時と同じなんともいえないあのメロウな感触、そしてこのグッとくるたまんない感じ。相当聴きこんだアルバムだけど、毎回聴く度に胸が熱くなる。
一番のお気に入りは6曲目のエリス・レジーナとマルコス・ヴァーリの「TERRA DE NINGUEM(誰のものでもない大地)」。ライブでの音なんだけど、会場の熱気が聴いてるこちら側にまで伝わってくる。サイコー!マルコス・ヴァーリの穏やかな歌声とギターから始まるこの曲、美しいメロディーで既に「スキー!」となるが、サビから入るエリス・レジーナの圧倒的な迫力ある熱唱にマイっちゃうんだ。会場のお客さんたちもエリスが登場するやいなや、大歓声、そして拍手…そこにエリスのあの歌声!!わずか2分半ほどの短い曲なのに、サビの部分にくるたびに毎回鼻の奥がツーンとして、ついつい涙腺ヤバい状態となってしまう。10年以上も前に買ったアルバムだから相当聴きこんでいるんだよ。それなのにこの曲を聴く度にうぉー(泣)となってしまうのだ。最高に好きだ。
OCTETO DE CESAR CAMARGO MARIANOの「SAMBLUES」「SAMBINHA」のジャズでサンバなノリから始まるこのコンピだけれど、黄昏マニアな私としてはやっぱりメロメロメロウな感じでサウダージ感溢れる曲が好きなんだな。ブラジル音楽との出会いの一枚。琥珀色のサウンドがこれからの季節、気持ちいい。既に廃盤となっているこのコンピだけど、案外TSUTAYAなどに置いてあるかもしれないのでブラジル音楽をこれから聴いてみたい方、あまり激しくないもの、メロウ路線を好む方にこのアルバムをオススメしたい。全17曲、どれも愛しいけれどとりわけお気に入りはさっき書いた6曲目、そして13、16、17。どれも懐かしい香りがしてたまんない。
サウジ、サウダージ…。
『BRASILIANCE! JAZZ BOSSA 1』 / V.A1.OCTETO DE CESAR CAMARGO MARIANO : SAMBLUES
2.OCTETO DE CESAR CAMARGO MARIANO : SAMBINHA
3.ALAIDE COSTA : A VOZ DO POVO
4.TENORIO JR. e seu Conjunto : INUTIL PAISAGEM
5.ANTONIO CARLOS JOBIM : SO TINHA QUE SER COM VOCE
6.ELIS REGINA e MARCOS VALLE : TERRA DE NINGUEM
7.MARIA CREUZA : GAROTA DE IPANEMA
8.AGOSTINHO DOS SANTOS e WALTER WANDERLEY : DESAFINADO
9.TRIO MARAYA : PRA QUE MENTIR
10.SAMBRASA TRIO : ALELUIA
11.LUIZ CHAVES e seu Conjunto : INFLUENCIA DO JAZZ
12.TOQUINHO : ZANA
13.TRIO MOCOTO : PALOMARES
14.CESAR ROLDAO VIEIRA : ZE DO TREM
15.ANA LUCIA : TEM DO
16.MANFREDO FEST TRIO : REZA
17.WANDA DE SAH : INUTIL PAISAGEM
Compiled by IZURU UTSUMI
*『BRASILIANCE! JAZZ BOSSA 1』V.A